ヴェネツィア国際映画祭 5
滞在最終日。イタリア国鉄の遅れのせいで僕が向かえなかった K さんが大森さんに招待されているというパーティを切り上げてでも、僕との待ち合わせに来てくれた。K さんもそこまでして誰と会うんだ? と皆に突っ込まれていたらしい。そしてそこまでして僕が彼と会おうとしていたのは何故か?
それは僕と真逆な彼の考え方にある。彼はもともと演出をやっていて、ぴあでも記録が残っているくらい才能がある人だが、いまはプロデュースにまわって、お金になる映画製作をしている。いわば最近の新しい映画界を支えているイケイケ部門。インディーズをかげで盛り上げているのは彼である。金儲けの映画製作に徹していて何が悪い? といいきる。プロデュースを完璧にやりこなしている人。僕にない面を提示して見せてくれる人。僕が持ち合わせていればもっとうまくいくはずなところを持っている人。捨てることを知っている人。それでいて人とのつきあいを大切にしている。でなければ僕なんぞと会うはずもない。
K さんともう一人僕のよく知っている F プロデューサー。僕が言うのも失礼な話だが、同じプロデューサーでも好対照な 2人。僕はどちらかといえば F さんタイプ。K さんの会社で経験を積んでみたいと思う反面、本気でやるなら Fさんとやりたいと思っている。映画は夢物語ではない現実のものであるが、その夢の部分を理不尽なくらいに愛している。
K さんのところはコンスタントに製作していて海外にも目が向いている。理想的だけれども、根本的なところで僕が目指しているのはそこではない。それを強要するような言い方をしなかった K さん。彼の言いたい事は何となく見えたけど、いまの僕にしかできない事もたくさんある。それも彼は認めてくれていた。
サン・マルコ寺院横にて筆者自ら撮影









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