愛の体現 - Firenze 3
スカリオーラの修復をしている彼女の仕事ぶりに目を奪われた。レンズを向けることを忘れてしまいそうなくらいだった。ボロボロに剥げたスカリオーラが悲しく見えてくる。一つ一つのヒビに手をかけていく様は、まるで彼女の愛情を埋め込んでいく作業をしているかの様に見えた。
しばらくすると黒いインド人のような男があらわれ、彼女と話し始める。お弟子さんなのかアシスタントなのかわからなかったが、修復すべきポイントを指示され削っていた。細かな指示を下して、そこに彼女がきれいに新しく埋め込み修復していた。
その合間を見て彼女もタバコ休憩を取る。すかさず僕も気取らない彼女に声をかけ話し始めた。工房がしまる時間と列車の時間を考えた末に、ぎりぎりまで作業のトリコになっていた。
オルトラルノの職人街を眺めながらアルノ川のある橋まで行き、アルノ川を撮影した。シエナ行きの各駅に乗りこむ。予定の時間になっても到着せず、ありがちだと思いつつも不安になる自分がいた。






