2008年7月 5日 (土)

今週の映画!! (7/5)

(7/5)公開の見たい映画

バックドロップ・クルディスタン

http://www.back-drop-kurdistan.com/


 ふとしたきっかけから在日クルド人たちと知り合ったドキュメンタリー作家志望の青年、野本大。やがて、カザンキラン一家と出会い、彼らが日本で難民認定を受けられず、強制送還などの困難な状況に置かれていることを知る。クルド、難民、さらには日本政府の対応など、知らないことばかりだった野本は、そうした疑問を胸に、カザンキラン一家の行動をカメラに収めていくが…。
 2008年7月5日(土) より、ポレポレ東中野にて公開

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2008年6月28日 (土)

今月の映画!! (6月)

(6/28)公開の見たい映画

水の中のつぼみ

http://www.tsubomi-movie.jp/


 性に揺れる思春期の少女たちの姿を淡いエロティシズムと瑞々しいタッチで綴ったガールズ・ムービー。監督はこれがデビューの女性監督セリーヌ・シアマ。親友の同級生アンヌを応援するためシンクロナイズド・スイミングの競技会場へとやって来た15歳の少女マリー。彼女はそこで、上級生の演技に目を奪われ、ひときわ華やかなチームのキャプテン、フロリアーヌの美しさに心奪われてしまう。彼女に近づきたい一心で、シンクロ・クラブに入部するマリー。やがて彼女は、フロリアーヌが周囲から男性関係が盛んだと噂されて孤立していることを知るのだが…。
 2008年6月28日(土) より、渋谷Q-AXシネマにてロードショー

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2008年5月31日 (土)

今月の映画!! (5/31)

(5/31)公開の見たい映画

おいしいコーヒーの真実

http://www.uplink.co.jp/oishiicoffee/


 コーヒーは世界で最も日常的に親しまれている飲物。しかも近年、改めて世界的なコーヒー・ブームとなっているにもかかわらず、コーヒー豆の価格は下がり続け、原産国のコーヒー農家は困窮し、その多くが破産の危機に瀕しているという。本作は、そんなコーヒー市場を巡る経済的な矛盾を解き明かすべく、代表的な原産国の一つ、エチオピアを例に、コーヒーが私たちの口に入るまでの道のりを辿っていく社会派ドキュメンタリー。
 2008年5月31日(土) より、渋谷アップリンクXにてロードショー

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2008年4月26日 (土)

今月の映画!! (4月)

(4/26)公開の見たい映画

愛おしき隣人

http://kittoshiawase.jp/


 2000年のカンヌ映画祭で審査員特別賞を受賞した「散歩する惑星」で世界的に注目を集めたスウェーデンの鬼才ロイ・アンダーソン監督が、独特のユーモアで描く人間賛歌の不条理ドラマ。北欧のとある街を舞台に、夢と現実の狭間で繰り広げられる住人たちの悲喜こもごもの奇抜なエピソードが、CF出身監督ならではのシュールかつオリジナリティ溢れる映像表現の中、温かな眼差しで綴られてゆく。
 2008年4月26日(土) より、恵比寿ガーデンシネマ他全国順次ロードショー

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2008年3月29日 (土)

今月の映画!! (3月)

(3/29)公開の見たい映画

タクシデルミア ある剥製師の遺言

http://www.espace-sarou.co.jp/taxidermia/


 デビュー作「ハックル」が世界的に注目を集めたハンガリーの奇才パールフィ・ジョルジ監督が、ハンガリーに生きる家族の三世代の男たちを主人公に綴るブラックでアートなコメディ・ドラマ。祖父、父、孫、それぞれが繰り広げる人間の欲望と命の極限を巡る数奇な物語を、シュールかつグロテスクなエピソードとヴィジュアルで独創的に描き出す。
 第二次大戦中のハンガリー。一兵卒として人里離れた寒村に配置された祖父モロジュゴバーニは、中尉にこき使われながら、その妻でブタのように肥った女と美しい二人の娘と生活を共にしていた。そんな祖父の唯一の楽しみは、倒錯した性の妄想に耽ることだったが…。やがて共産主義政権の時代となったハンガリー。父カールマーンは、スポーツ大食いの選手となった。オリンピック公認も期待され、アスリートとして日々鍛錬を怠らないカールマーンだったが…。孫ラヨシュの代となった現代のハンガリー。肥満で身動きさえできない父を世話するラヨシュは、剥製師となり究極の剥製作りに没頭し始めるが…。
 2008年3月29日(土) より、シアター・イメージフォーラム他にて全国順次ロードショー


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2008年2月23日 (土)

今月の映画!! (2月)

(2/23)公開の見たい映画

トゥヤーの結婚

http://tuya-marriage.jp/


 内モンゴルの荒野を舞台に、過酷な生活の中、愛する家族のためにたくましく生きる美しきヒロインを描いた2007年ベルリン国際映画祭金熊賞グランプリ受賞作。障害を持つ元夫も一緒に暮らすという条件で再婚を決意したヒロインの凛とした姿を、ユーモアを織り交ぜ温かな眼差しで綴る。主演は中国映画界期待の新星ユー・ナン。監督はこれが3作目のワン・チュアンアン。
 中国、内モンゴル北西部に広がる荒れ果てた草原に暮らす美しい人妻トゥヤー。ある日、夫バータルはダイナマイトの事故に遭い下半身不随に。幼い2人の子供を抱え、一家4人の生活をトゥヤーひとりで支えなければならなくなる。過酷な労働はトゥヤーの身体を蝕み、見かねたバータルは自分と離婚して新たな夫を見つけるようトゥヤーを説得する。しかし、トゥヤーは苦渋の末離婚には同意したものの、再婚に際して、障害を負ったバータルも一緒に受け入れてくれる人という条件を付けるのだった…。
 2008年2月23日(土) より、Bunkamura ル・シネマにてロードショー全国順次公開

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2008年1月26日 (土)

今月の映画!! (1月)

(1/26)公開の見たい映画

陰日向に咲く

http://www.kage-hinata.jp/


 一大ベストセラーとなった人気お笑い芸人・劇団ひとりの同名連作短編集を映画化したハートフル群像ドラマ。東京の片隅で思い通りにならない冴えない人生を送りながらも懸命に生きる人々の姿を、一組の男女の出会いを軸に、ユーモアを織り交ぜ優しい眼差しで綴る。主演は「木更津キャッツアイ」の岡田准一、共演に宮崎あおい、西田敏行、三浦友和。監督は「そのときは彼によろしく」の平川雄一朗。
 大型台風が接近中の東京。ギャンブルから足が洗えず、借金まみれの末に、ついにオレオレ詐欺に手を染める青年、シンヤ。若かりし頃に売れない芸人・雷太に恋した母・鳴子の恋の軌跡を辿る女性、寿子。25歳の崖っぷちアイドル・みゃーこと、彼女を一途に応援するアキバ系アイドルオタクのゆうすけ。大ボラ吹きのカリスマ・ホームレス“モーゼ”に心酔し、人生を投げ出しダンボール生活を始めたエリートサラリーマン、リュウタロウ。一見、無関係な彼らの人生が、台風の接近と共に不思議な縁に導かれるように次第に交錯していく…。
 2008年1月26日(土) より、全国東宝系ロードショー

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2007年12月22日 (土)

今月の映画!! (12月)

(12/22)公開の見たい映画

線路と娼婦とサッカーボール

http://shoufu-fc.com/


 グアテマラ・シティの線路(リネア)と呼ばれる貧民街の娼婦たちが、サッカー・チームを結成して、差別を初めとする社会問題を提起していく実話。監督はスペインのチェマ・ロドリゲス。トラベル・ライターとして、100を超える国を旅行したという彼は、世界各地でドキュメンタリーを撮る注目の新鋭である。
映画の中心となるのは線路脇の小屋で売春を商売としている女性たち。
「リネア・オールスターズ」のスター選手となるバレリア、ビルマ、メルシー、カロル、チーナ、ゴールキーパーのキムとルーペ。「リネア・オールスターズ」のユニフォーム・デザイン及びコーチのキンバリー。彼女たちを支援するマネージャー役のジャーナリスト、アンドレス。そして、遠征旅行を支えるスポンサー、「グアテマラ・トラベル・ネット」のランディ・ピット。 そして、彼女たちの熱狂的なサポーターである元売春婦の片目のマリナ。 さまざまな境遇から、リネアに集まった彼女たちは、2ドル半という少ない報酬で仕事をするのだが、この地区ではヒモなしでやっていけるという自由に誇りを持っている女性たちであるのだ。しかし、男たちの暴力や警官の賄賂の要求、周辺の偏見に対して、自己を主張していこうとする彼女たちは、サッカー・チームを結成することで、社会への発言権を確保していくのだ。しかし、良識派の抗議から、大会への参加を拒否される。それにもめげず、「リネア・オールスターズ」は、マスコミを巻き込みつつ、国内外への反響を拡大し、連敗中のチームの初勝利に向け、チームワークを高めていくのである。
 2007年12月22日(土) より、シアターN渋谷ほかにて公開

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2007年11月24日 (土)

今月の映画!! (11月)

(11/24)公開の見たい映画

愛の予感

http://www.ainoyokan.com/


 第60回ロカルノ国際映画祭コンペティション部門グランプリ(金豹賞)受賞の異色ヒューマン・ドラマ。14歳の少女による同級生の殺害という事件を発端に、被害者の父親と加害者の母親が世間から身を隠した地方都市で思いがけない再会を果たし、絶望と罪悪感を抱えながらも再生への光を見出す姿を、冒頭のインタビューシーン以外、一切セリフがないという斬新な構成で描き出す。監督・主演は「バッシング」の小林政広、相手役には「殯(もがり)の森」の渡辺真起子。
 2007年11月24日(土) より、ポレポレ東中野ほか全国順次公開

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2007年10月27日 (土)

今月の映画!! (10月)

(10/27)公開の見たい映画

アフター・ウェディング

http://after-wedding.com/


 死期が迫った一人の資産家が愛する家族のために決断したある計画と、それに巻き込まれた男女の葛藤と運命の行方をミステリアスかつ感動的に描くヒューマン・ドラマ。監督は「しあわせな孤独」のスザンネ・ビア。
 インドで孤児たちの救援事業に従事するデンマーク人、ヤコブ。運営している学校の財政難に頭を悩ますヤコブのもとに、デンマークの実業家ヨルゲンから巨額の資金援助の申し出が舞い込む。そして面会したいというヨルゲンの求めに応じて、久々に故郷デンマークへと戻ったヤコブ。面談を無事終えたヤコブは、ヨルゲンから週末に行われる娘アナの結婚式に強引に招待され、断り切れずに出席することに。ところが、そこに待っていたのは思いがけない人との再会、そしてさらなる衝撃的な事実だった。あまりのことに激しく動揺するヤコブだったが…。
 2007年10月27日(土) より、シネカノン有楽町一丁目ほか全国順次ロードショー

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2007年9月 1日 (土)

今月の映画!! (9月)

(9/29)公開の見たい映画

エディット・ピアフ~愛の讃歌~

http://www.piaf.jp/


『愛の賛歌』や『バラ色の人生』をはじめ数々の名曲で知られる伝説のシャンソン歌手、エディット・ピアフの偉大な足跡と、歌と愛に生きた47年間の波瀾万丈の生涯を綴る感動の伝記ドラマ。劇中で歌われた歌のほとんどは、実際にピアフ本人の音源から使用されている。また、20 歳から晩年までのピアフを見事に演じきったマリオン・コティヤールには各方面から多くの賛辞が寄せられた。監督は「クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち」のオリヴィエ・ダアン。
 1915年、フランス・パリの貧しい家庭に生まれたエディット・ジョヴァンナ・ガション。母は路上で歌を歌い、日銭を稼ぐ毎日だった。その後、祖母が経営する娼館に預けられた彼女は、娼婦ティティーヌたちに可愛がられ束の間の安らぎを得る。やがて兵役から戻った父に引き取られると、路上で大道芸をする父の手伝いをする中で、自らも人前で歌うことを覚えるのだった。そして1935年、路上で歌を歌い日銭を稼いでいた彼女は、パリ市内の名門クラブのオーナー、ルイ・ルプレにスカウトされ大きな転機を迎えた。ルプレによってピアフと名付けられた彼女は、歌手としてデビューするや、瞬く間にスターダムへと駆け上っていくのだったが…。
 2007年9月29日(土) より、有楽座ほか全国拡大ロードショー

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2007年8月25日 (土)

今月の映画!! (8月)

(8/25)公開の見たい映画

ショートバス

http://shortbus.jp/


 デビュー作「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」で注目を集めたジョン・キャメロン・ミッチェルの監督第2作となる赤裸々なセックスとピュアな愛の物語。911以降の混迷の中、ますます人と人が愛することが難しくなっているという時代認識を背景に、愛に迷える7人の男女が、アンダーグラウンドのサロンで繰り広げられる奔放な性の宴に活路を求める姿を、過激なセックス描写満載で描く。前作でもアニメを手掛けたジョン・ベアの手によるニューヨークの街並みをジオラマに模した3Dアニメも見どころ。
 ニューヨーク。グラウンド・ゼロを見下ろすマンションの一室で、プロのSM女王セヴェリンは、客の相手をしながら孤独をかみしめる。一方、カップル・カウンセラーとして様々なカップルの悩みを解決しているソフィアは、夫とのセックスでオーガズムに達したことがないという悩みを抱えていた。そんな彼女のもとにやってきた新たな相談者はゲイのカップル、ジェイムズとジェイミー。彼らのカウンセリング中に、ソフィアはふと自分の悩みを吐露してしまう。そこでジェイムズとジェイミーは、彼女をアンダーグラウンドのサロン “ショートバス”に誘う。そこは、多様な人々が思い思いの愛を求めて心を解き放ち、セックスに身を委ねる場所だった。
 2007年8月25日(土) より、シネマライズほか全国順次ロードショー

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2007年7月28日 (土)

今月の映画!! (7月)

(7/28)公開の見たい映画

モン族の少女 パオの物語

http://www.imageforum.co.jp/pao/


 中国・ベトナム国境沿いの山岳に暮す少数民族、モン族の少女を主人公に、少女の初恋と生みの母、育ての母を巡る切ない運命を描いた人間ドラマ。監督はこれがデビューのゴー・クァン・ハーイ。
 ベトナムの最北部、中国との国境地域に暮す少数民族モン族の17歳の少女パオ。彼女には生みの親と育ての親の2人の母がいた。いま一緒に暮している育ての母キアは子供を生むことが出来なかったので、子供を産むためだけにシムが連れてこられたのだった。そんなシムはパオを生むや、家の中に居場所を見つけられず町へ出て行ったのだった。そんなある日、キアが忽然と姿を消してしまう。残されたパオは、助けを求めて生みの母シムを探す旅に出るのだったが…。
 2007年7月28日(土) より、渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開予定

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2005年2月24日 (木)

ラテンアメリカ 光と影の詩

「タンゴ〜ガルデルの亡命」「スール、その先は・・・愛」で知られる名匠フェルナンド・E・ソラナスが、地球の遺産ともいうべき大自然を圧倒的な映像世界に包み結晶させたー大映像叙事詩。音・映像・詩の洪水と共に心にしみ込む様な詩的世界。美しい映像の奥にラテンアメリカの慢性的な“政治腐敗”と“経済危機”というメッセージをユ−モラスに告発、南米に抱く世界中の幻想を打ち砕いてゆく。中南米の政治的背景を知らなければ理解しずらい部分も。監督はこの作品でアルゼンチンの腐敗を激しく批判し続けたため、メナム大統領に名誉棄損で訴えられ、法廷で証言した翌日、狙撃されてカンヌ映画祭に松葉づえ姿で登場した。また不世出のバンドネオン奏者、タンゴ音楽の革命児アストル・ピアソラの遺作になったことなどでも話題になった一本。祖国へのオマージュを前衛的手法と独特の映像美でコラージュしてきたソラナスだが、ここでは観るものを圧倒する幻想とアイロニーとユーモアたっぷりで、明確なストーリーを追っているため比較的わかりやすい。「イベロアメリカ」とは、ヨーロッパのイベリア半島に位置するスペイン、ポルトガル両国と、ラテン・アメリカのスペイン語やポルトガル語を母国語とする諸地域の、このふたつの地域の総称であるようだ。

<物語>
 アルゼンチンのフエゴ島にある《世界で最も南の町》ウシュアイア(Ushuaia:パッケージの解説や字幕では「ウスワイヤ」と記載されている)からペルーに亡命し、父親を追ってパタゴニア、ブエノスアイレス、ペルー、アンデス、アマゾンなどを経て、メキシコまで南米大陸50000Kmを自転車で縦断する16歳の少年を描く、ラテン・アメリカ諸国を舞台とするロード・ムービー。彼はその旅を通し、未知なる風景、失われたインカ帝国、マヤ文明の廃墟、秘められた略奪の歴史などに出会ってゆく。

 アルゼンチン最南端の島、フエゴ島の「世界の最果ての町」ウスワイアに住む高校生マルティンは国立師範学校に通っている。抑圧的な学校での方向性には夢を抱けず、家では義父と折り合いが悪く、妊娠した彼女は自分に相談もなしに堕胎したことから、ある日、派手なケンカをして家を飛び出す。実の父に会うために自転車で旅に出る事を決意する。
 広大な大地が果てしなくひろがるパタゴニア、洪水で浸水した首都ブエノス・アイレス、先住民たちに日々増額する税金を強制するボリビア、現代の奴隷労働を思わせるブラジルの鉱山での非人間的な労働などを経験しながら、自分が今まで知らなかった世界を垣間みる。彼の行く手には南アメリカのすばらしい、しかし過酷な自然があり、その土地で生きる人々がいる。またラテンアメリカの国々が抱える厳しい現実と政治的混沌を目の当たりにすることになるのだ。旅は少年を大人の男へと成長させ、そしてついに実父との再会のときが来たのだが。父親の実像を知るにつれ一人の人間が生きて行く上での悩みは自分自身が決定していく以外ないのだと認識し、父親への精神的依存から自立していくのだった。

<ちょっと難解なロードムービー>
 この映画の原題は "EL VIAJE"(エル・ヴィアヘ〜旅)。
 ラテン・アメリカ縦断ということで、パタゴニアの風の大地や、ペルーの空中都市マチュピチュなど、マルティンの行く先々で観られる美しい風景も感動的な美しい映像で見せてくれる。旅する少年の目を通して、南米の雄大な自然と政治的な混乱、そしてラテンアメリカが抱える厳しい現実と迫害の歴史を目のあたりにすることになる。

 主人公はマゼラン海峡を渡りパタゴニアへ。そこではイギリスの石油資本が土地を半植民地化している様子が描かれる。そしてブエノスアイレスへ行くが、洪水で水没している。そこでチリからの亡命者と会い、独裁政治退陣後も逼迫している国情を訴える。ボリビアからペルーへ。貧困のにあえぐ住民の姿が映し出され、次に行くブラジルでは対外債務で首が回らない国家情勢が、パナマではアメリカとの戦争で疲弊しきった国情が描かれる。まさに地獄めぐりのロード・ムービーだ。
「失われた10年」と呼ばれ、債務とインフレにあえいだ80年代が終わり、「比較的安定」していると言われているラテンアメリカの国々。でも彼らが抱えるさまざまな問題は根が深い。政治腐敗、政治不信、持つ者と持たざる者の大きな経済格差、終わらないゲリラ抗争。スペインに征服された「新大陸」は、500年たった現在も出口を見つけられずにあえいでいる。そして新たに加わった「環境破壊」という大きな問題。

 痛烈な批判をこの監督得意の徹底的なシュールな演出で成し、腐敗のバカバカしさを際立たせる。「今日は傾斜日和です、右に32度傾きます」のニュース。壁をすべり落ちる偉人の肖像画。水浸しの街にやってきた足ヒレをつけた「カエル」という名のラナ大統領はカエル姿で「しっかり泳げ」。「この島売ります」の看板には日本語で「ウリマス」の文字。太鼓を打つティトに「何から逃げてるの?」と聞けば「忘却からだ」と答え、太鼓の中にはテープレコーダー。ひざまづいてやる社交バレーボール大会、駆け巡る「収税トラック」等。さまざまなメタファーを使って「本来、あるべき姿にない」ラテンアメリカの混沌を表現している。

 第2章の「ブエノスアイレスへ」では、水没したビルの爆破シーンや政治腐敗を象徴するシーンがあるが、第1章の教育現場の荒廃を象徴するシーンと同様に、既存の疲れきった権威や制度の崩壊と考えれば、現在の日本の状況と酷似しているかもしれない。川の氾濫かなにかで街がすっかり水浸しになってしまっていて、住民たちが移動に使う船が建物の間を行き交っている。墓から棺桶は流れ出すわ、ウンチはそこいらを漂っているわで、けっして綺麗なだけ映像ではなかった。首都が水びたしになっても平然としている市民は、汚職や政治腐敗など、「あってはならないこと」に慣れきってしまった彼らを比喩しているのだろうし、原始的な方法で進もうとするボートは、ラテンアメリカの象徴なのかもしれない。そして時折現れる赤い服の少女は、幻想、それとも希望?廃虚のような学校でプロパガンダ教育を受ける学生たち、国民に拘束帯を付けるように訴えるテレビ、ジャングルの中で微笑む少女、主人公の父親が描く物語に登場する英雄がアニメーションで描かれる等。この技法は凡百の作家が使うとシラけるところだが、切迫した作者の確信犯ぶりは観客の冷笑的な態度を許さない。

 なぜなら、ここに描かれることは(多少の誇張はあれ)すべて事実であるからだ。中南米ほど西欧列強の蹂躙と搾取を強いられている場所はないのである。ペルー奥地には未だに奴隷制同然の労働環境が存在すること、アルゼンチンが借金のカタに領土を切り売りしていること、そしてアメリカのパナマ介入の真相だ。
 邦題のラテン・アメリカの「光」とは何だろうか。マルティンの未来のことなのだろうか。「影」のほうは、奴隷制度などのラテン・アメリカが持つ悲惨な過去の歴史のことや、現代の腐敗した政治家たち、マルティンが通う学校の管理的で威圧的な先生たちなどが、皮肉たっぷりに、そしてユーモラスに、繰り返し描写されている。これらは、マルティンが追い求めている「父性」に含まれる、対決し、乗り越え、克服すべき、影の部分を象徴しているようだ。観念的なメタファーが映画のいたるところに存在していて、ラテンアメリカの映画や文学によく見られる、現実と幻想が混ざりあう「魔術的リアリズム」の手法も取り入れられてるもんだから、(かなり)難解だったりもする。この映画は童話的な雰囲気を持っていて、「父に会いに行く旅=父性を求める旅」ととらえて観ると、旅の途中でマルティンが出会う人々やできごとは、それぞれが何かを象徴するものとして浮かび上がってくる。全編にわたって少年が求め続ける「実父」という存在は、少年にとって「手に入れることができない真実」を意味していたのか、それとも「ラテンアメリカの統合」を意味していたのか?
 マルティンの実父は地質学者から童話作家となり『道を造った人々』という処女作を彼に残して去った。父に会いに行く旅は、その絵本の内容そのもの。画中のトラック運転手、インコンクルーソにも出会う。「僕のお父さんのこと知ってる?」「知らないが造ったのは俺さ!」「道、わかってんの?」「知らないよ、想像して走るのさ。迷ったことはないね」本一冊づつが、この世のどこかを転写していることをマルテインは体感したのか。ウシュアイアでの恋人、ヴィオレッタの家は、じつにかっこいい本屋。

 第3章の「原初のラテンアメリカを渡って」では、牧師の語る言葉がラテンアメリカの気持を代弁している。「ラテンアメリカの先住民は安い給料で酷使され、日本や世界のブタどもを太らせている。」 持つ者と持たざる者との大きな経済格差。世界人口の90%が飢えで苦しんでいるという現実。そうした国々を、日本人や白人が経済的に侵略しているという事実を再認識させられる。旅の映画でもあり、童話のようでもあり、政治風刺でもある、重層的な構造を持っている作品。 この政治的フィルムを少年の成長をからめた作劇にしたのは正解で、さわやかな青春映画の雰囲気が重苦しい題材を中和し、大自然を旅するロードムービーとして見ても、十分に楽しめる。

<音楽>
 サウンド・トラックには、監督でもあるフェルナンド.E.ソラナス、ブラジルの音楽家エグベルト・ジスモンチ、そして日本でもすっかり有名になったタンゴの名手ピアソラの音楽がふんだんに使われ、彼独特の不協和音になりそうでならない音の重なりが、映画にほどよい緊張感を与えている。マルティンがマウンテン・バイクで移動するシーンに使われる、ピアソラのタンゴ『ミロンガ(Milonga)』が特に印象的。まるでこの映画にあわせて作られたかのようにみごとにはまっていた。そして、この映画の監督のソラナスが作った幻想的なバラード『ウシュアイア(Ushuaia)』を歌っているのは旅する主人公の同級生役、ミュージシャン志望の不良少年役を演じる FITO PAEZ。彼はアルゼンチンを代表するロック歌手である。そのほかにも、『ブエノスアイレスの洪水(Floto en Buenos Aires)』など、印象的な曲がたくさんある。


 

『ラテンアメリカ 光と影の詩』
1992年 アルゼンチン=フランス合作
原題 EL VIAJE
監督 フェルナンド・E・ソラナス
出演 ウォルター・キロス、ドミニク・サンダ 他
音楽 アストル・ピアソラ、フェルナンド・E・ソラナス 他
1992年カンヌ映画祭高等技術賞受賞

フェルナンド・E・ソラナス監督
 1936年、アルゼンチン、オリボス生まれ。数百本のコマーシャルを製作した後、1968年、初の長編映画『燃える時』を発表。高い評価を得るが、軍部の検閲により公的な活動を制限される。1976年の軍事クーデター直後にフランスに亡命。パリに住む亡命アルゼンチン人を描いた『タンゴ〜ガルデルの亡命』(1985年)は、ベネチア映画祭など多くの国際映画祭で賞を獲得。帰国後は、「帰還」をテーマにした『スール』(「南」の意)を完成させる一方、この「ラテンアメリカ光と影の詩」で政治腐敗を激しく批判し続け、メネム大統領に名誉毀損で訴えられた。1991年、法廷での証言の翌日、「何者かに」銃撃を受け、負傷するといった事件も起こっている。オクタヴィオ・ゲティーノという監督と共に「第三の映画」という映画論を持つ。これは自分たちの作る映画が商品としての映画でも実験精神の表れでもなく、革命の意識と精神の表れであり道具であるという主張である。

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2005年2月21日 (月)

モーターサイクル・ダイアリーズ

 伝説の革命家、チェ・ゲバラの青春の日々である。
 「チェ」とは親愛の情を込めたゲバラの愛称。キューバの子供たちは今でも口を揃えて「チェのようになりたい」と歌う。チェの遺志は人々の心に永遠に生き続けている。キューバ革命時、十数人のゲリラから始まった革命軍は、二万人にも及ぶ政府軍と闘い、時のバチスタ政権を倒し、貧困に苦しむ人々を抑圧から解放した。その後の彼は名誉や地位をあっさりと捨て、理想を求め、国境を越えた新たな革命へと旅立つ。彼はコンゴ、ボリビアで闘い、ついに銃弾に倒れ夢に散る。
 「自由を求める人々が僕のささやかな努力を望む限り闘い続ける。永遠の勝利まで。革命か死か。」ゲバラがカストロに宛てた別れの手紙。 「チェの思想が実現していたら、世界は違ったものになっていただろう。戦士は死ぬ。だが、思想は死なない。」カストロはそう返した。
 
 23歳の裕福な医学生エルネスト(ゲバラ)は親友アルベルトとともにおんぼろバイクに乗って南米大陸探検の未知への旅に出る。それは、好奇心のままに10000キロを走破する無鉄砲な計画だった。アンデス山脈を抜け、チリの海岸線に沿って進み、アカタマ砂漠を通ってペルーのアマゾン上流へと。
 旅の途中には、彼らにとって未知の姿のラテン・アメリカとの出会いが待っていた。政治的信念を持ったがために土地を奪われた夫婦との出会い。インカ帝国の栄光と現代のまとまりのない都市風景とのコントラスト。隔離医療施設に閉じ込められた人々とのふれあい。ついにベネズエラに着いた時、ふたりが旅した距離はキロ単位でははかれないまでになっていた。ラテン・アメリカ深部への旅は彼らの生涯の最初の揺らぎ、生涯変わらぬ情熱と原動力となる。運命の軌跡、自我の確立、一個人がアイデンティティとこの世界における居場所を見つける旅、それはまた、私たちにラテン・アメリカのアイデンティティの軌跡をも見せてくれる。
 
 チェ・ゲバラの革命者としての人格の基となった青春時代の旅での日々、その道中を描いた映画、それがこの「モーターサイクル・ダイアリーズ」である。チェ・ゲバラが尊敬していた革命家はあの坂本竜馬。私たち日本人のアイデンティティとは何であるのかということも想起させられる。
 「あの頃世界で一番かっこいいのがゲバラだった」ジョン・レノンはこんな言葉を残したという。

【原題】THE MOTORCYCLE DIARIES
【制作】2004年 イギリス・アメリカ合作
【制作総指揮】ロバート・レッドフォード
【監督】ウォルター・サレス
【原作】エルネスト・チェ・ゲバラ「モーターサイクル南米旅行日記」
【出演】ガエル・ガルシア・ベルナル ロドリゴ・デ・ラ・セルナ ミア・マエストロ
【上映館】10月9日より恵比寿ガーデンシネマ 他


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