2008年5月15日 (木)

マエストロ 石井高 - Cremona 26

 某雑誌の取材でクレモナ在住バイオリン職人の石井高さんの工房を訪れた。「GLI ARTIGIANI」の企画を立ち上げた頃、少しでも企画の行き先を透明にしようと石井さんの工房を訪れたことがあった。そのときはバカンスシーズンだったため、お会いすることはできなかったが、今回はカメラマンということで訪れ、お話を聞くことができた。
 石井さんは職人としては重鎮。とはいうものの極めて話がしやすく、当たりの柔らかい感じ。おそらく最初に訪れたときでも優しく話をしてくれていただろう。そんな雰囲気を察した。ちょっとした昔の小話、軽妙なトーク、重みを感じさせないようなものが逆に、年月を重ねたが故の優しさのような気にもさせられる。
 カメラの話をすると楽しそうにライカを持ち出したり、機械好きの少年が見え隠れする。人の生のいろいろを少し垣間みれたのは、よいときを過ごせた証拠。どんな記事に出来上がってくるか。それは乞うご期待。



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2007年12月31日 (月)

得られたもの - Cremona 24

 と、まあいろんな人の訪問あり、挨拶入れに行ったり、いろいろあってまともな撮影をしていなかった。工房に戻っていつものマルコの目を見ることはできたものの、30分もいなかったような気もする。とはいえやはりクリスマス前の特別なときに、仕事以外の一面を見られたのは収穫だった。
 マルコから「クリスマスはどうするんだ」と聞かれていた。「僕は一人だよ」と答えると「なんでだ。友達と会わないのか? テツ (弟子の鈴木さん) は?」「一人だよ」と、イタリア人らしくしきりに心配していた。
 そんなやり取りがあったせいか、僕の帰り際にマルコ夫妻からの思わぬクリスマスプレゼントがあった。何も期待していなかっただけに、突然のことにちょっぴり嬉しさがこみ上げてきた。


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2007年12月30日 (日)

おつかい - Cremona 23

 そのままマルコ夫妻もどこかの知り合いの家に向かった。クリスマスプレゼントと挨拶だろう。彼らにとっては日本の年末年始の挨拶みたいなもんだから、どこも忙しいはず。マリアンはどこかに立ち寄るのか、途中でわかれた。
 変な男が路上で声をかけてくる。僕の持っているカメラを見て、カメラが云々言っている。何が言いたいのかわからなかったが、あまり間にも受けていなかった。するとマルコが横からそいつを静止した。「危ないから相手にするな」年末はイタリアも変なのが増えるんだろうか?
 工房への帰り道、パン屋に寄るマエストロ。普段はなかなかこんな姿見ないから新鮮だった。


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2007年12月29日 (土)

マットのおごり - Cremona 22

 前に彼と会ったときもバールに行った。そしてこの日もみんなプロセッコを飲んだ。僕がカメラを持ち歩いていたせいか、周りの反応が敏感で、特にプロセッコをサーブしてくれたオッサンの気味の悪いくらいの笑顔が印象的だった。
 立ち飲みでそんなに長い時間いたわけではないが、それでも話は続いていた。気づけば外はもう夜。マットは近くのCDショップまで率いて買い物を始める。そこで話は尽きたのかここで解散。


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2007年12月28日 (金)

明るいうちから - Cremona 21

 やっぱり話は尽きることなく、みんなで外にくり出した。行き先はマットの行くところについて行くだけ。もうすぐ日の暮れる夕方。そんなこと少しも頭にないんだろう。


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2007年12月27日 (木)

マット - Cremona 20

 止まらず続いてやってくる訪問者。僕のことを忘れたのか? いや思い出したようだ。ちょうど二年くらい前にも工房で会ったジャーナリスト。マルコは僕に「あいつはマット (狂っている) だ」と影で耳打ちしてくる。それはもちろん冗談で、マルコとは仲良くしているようだ。彼も絶えずしゃべりまくっていたが、人は良さそうで僕も好感が持てた。


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2007年12月26日 (水)

やめられない止まらない - Cremona 19

「さあ、もう帰ろう」とドアに近づいたトラブッキ。マルコがそれを追うよう話かけて止まらない。マリアンは仕事に集中しているようで、話を聞いていて時折、割って話しかけてくる。トラブッキもなかなか帰れず話し込む。。


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2007年12月25日 (火)

スポット - Cremona 18

 ここの工房の照明の使い方は、僕にとって理想的。写真もきれいに撮れるから気づかないうちにバシバシ撮りまくっている。マリアンの照明の使い方は前に撮れた美しい写真の通りで、スポットが効果的であり、この日もあの美しい一枚が再現できるのではないかと、いろいろと試していた。


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2007年12月24日 (月)

レガーロ - Cremona 17

 クリスマス前で仕事にも手が着かないのでは?
 なんて思いながら訪れた工房。次から次からひっきりなしに人が訪ねてくる。以前、長野太郎さんと会ったときに行った工房のトラブッキ氏もこの日やって来た。彼は僕のことを覚えていた。マルコと同じコントラバスの作り手で仲がよく、その彼にクリスマスプレゼントを渡しにくるという、そんな光景が見られるのもイタリアならではなのかもしれない。


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2007年9月21日 (金)

スプリング - Verona 12

 イスのクッション部分へのスプリングの取り付け。いまの時代こんな作り方など目にすることがあるのだろうか? ものすごい原始的なものを感じたが、何百年も前のイスを修復したりしている彼なら当たり前のことなのだろう。完成しているイスのクッション部分を触らせてもらうと、恐ろしいほどに頑丈に修復されていて、生きている間に二度と壊れることはないだろうと思わされるような出来。ゴムでできているのは作るのは簡単で安上がりだけど壊れやすいという。
 このスプリングを取り付けるのに糸を使うのだが、それを金づちで枠に打ち付ける。僕にもやらせてくれたのだが、まぁうまくいくはずもなく、やっていて自分でイヤになってしまった。

「お前は実はここに修復の勉強に来ているんじゃないのか?」

 などといわれ、マリアーノの即席講座が始まった。彼の奥さんと一緒に聞き入っていたが、とにかく何気なくやっている一つ一つの作業が、細かい理由を持って成されていることが伝わってくる。やはり並の職人ではないし、学校で数年やっただけで得た技でもなく、何年もの鍛錬が成せる技術である。ただただ見とれていた。


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2007年9月20日 (木)

道具 - Verona 11

 作業の合間に紙ヤスリの種類を見せてくれる。荒さの違いで使い分けている。金づちやはさみも見せてくれたが、市販されているものと彼の手作りのものでは使い勝手が違うという。僕も手にさせてもらった。金づちもはさみも重心を全体にバランスよく振り分けているせいで、くぎは打ちやすくモノは切りやすい。


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2007年9月19日 (水)

嘘をつかない - Verona 10

 誰も見ないようなイスの足の先端部分。よく見れば手が入っているのがよくわかるが、それでも新品と変わらないように仕上げていくのはやはり職人技。器用な丁寧さが当たり前のように見えるが、実際にやってみれば簡単なものではないことがよくわかる。


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2007年9月18日 (火)

やりたくない - Verona 9

 あんまりやりたくないけど、これも仕事の一環。使い古されたイスの修復で、人の垢のような汚れをいろんな種類のヤスリで落としていく。一緒にいる僕に削り粉がかからないように注意を払っていた。


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2007年9月16日 (日)

雑魚をカモメに - Boccadasse 8

 漁から戻ってきた船を引き上げる手伝いをするオッサンがいつもいる。漁師の一連の仕事が終わって静かになってから、船に取り残された売れない魚の残骸をつまんで、海岸沿いから空に放り投げていた。ピヨピヨピヨピヨ、カモメが群がっているのを楽しんでいるようにも見えた。


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2007年9月14日 (金)

魚の即売 - Boccadasse 7

 穫りたての魚。群がる海水浴客。そんな中で普通に魚を販売する漁師。手秤でそれぞれにわけていく。興味本位な人から魚目当ての人、僕みたいに漁師と話したい人。この瞬間は一番人が集まるときだ。


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2007年9月13日 (木)

タイミング - Boccadasse 6

 いつもの時間通りに沖から戻ってきた。スタイルを変えることなく貫いてくれているのは、僕にとっても好都合。向こうの動きが見えるから、自分のリズムで彼らにあわせていくことができる。


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2007年9月12日 (水)

急ピッチのわけ - Ravenna 21

 バカンスシーズンにも関わらず、急いで取りかかる二人。早く完成させないといけないらしい。いろいろと聞いていると、その依頼人が工房にやってきて、夕食も一緒に取らなくてはいけないようだった。どうやら彼らにとっては大切なお客さん。これも営業だな。


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2007年9月11日 (火)

めまぐるしい - Ravenna 20

 下絵を描いていたと思えば、矢継ぎ早に別のモザイクにとりかかるアリアンナ。どうやら依頼者はどれも同じ人のよう。すでに完成していた子供の顔、犬のモザイクから、年輩の紳士とネコと、人やペットを作品にしている。なにかしらわけがあるのだろう。


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2007年9月10日 (月)

逝去したライダー - Ravenna 19

 こちらも写真のコピー。ルカが描いているのはオートバイのレーサー。事故で亡くなったらしく、その彼の墓に埋めるモザイクを依頼されているという。


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2007年9月 9日 (日)

コピー - Ravenna 18

 写真からのコピーのモザイク。まずは水性ペンで下絵を描く。アリアンナにしては珍しくコピーを製作している。作品に打ち込む姿は真剣そのもの。一つに集中しているのではなく、続けて二枚描いていた。


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2007年9月 6日 (木)

掃除中 - Cremona 16

 夏時間でまだ明るいものの、工房を閉める時間。床に散らばった木屑の掃除をするマルコの弟子・鈴木さん。彼が自分で初めて作ったというコントラバス。工房を出る前に師匠とともに仕上がりを気にしていた。丹念に見直しているのは、近々あるコンクールに提出するからだという。そしてコンクールでは第一位を獲得したという。


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2007年9月 5日 (水)

指示通りの撮影 - Cremona 15

 撮影していると声をかけられることがある。「これを撮れ!」と、言われるがままに撮ってみた。二人がかりでないとできない、部品同士を接着する作業。


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2007年9月 4日 (火)

軽快なテンポにのって - Cremona 14

 そしていつものように歌が始まる。歌の軽快さにとどまらず、手先もしっかりと動いているのはさすがマエストロ。音楽のテンポが仕事にまで波及して、製作のスピードも早まる。流れるような彼のペースに僕も飲み込まれているようで、それはそれで楽しむのもいいだろう。


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2007年9月 3日 (月)

ヘアースタイル - Cremona 13

 そんな自然さとは対照的にオーバーに自分を作るときもある。何をするかと思えば、水にぬれた手を頭にかざし「イケダー!」芸術家が爆発したときのような、理由などない行動。わかりにくいが髪の毛を逆立ててコントラバス作りにハゲんでいる。


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2007年9月 2日 (日)

極めて人間的 - Cremona 12

 バカンスシーズンの合間をぬって作っていたコントラバスのネック。ヤスリをかける右手につられて、どうしても動いてしまっている左手。師匠といえどもやはり自然と動いてしまうのだろう。フレームからはみだしそうになっているのに、どうしても気になってしまい、僕も気付けばその左手を自然とおさめてしまっていた。滑稽なのに、そこに愛らしさを見せてくれる。どうしても憎めない。


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2007年7月 2日 (月)

ストレートな感情 - Ravenna 16

 柔らかな表情。強くもなく弱くもなく。温和で優しいリラックスした気持ちの中で育まれるもの。女性ならではの母性を感じさせ、そこから生まれる新たな命。作品に込められたものは手先ではない心にある温度が、その先にまだ見ぬ人々へとすでに伝えられている。


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2007年7月 1日 (日)

モンターニャ - Ravenna 15

 アリアンナの作っていた不思議な作品に目を奪われていた。見た感じ、季節を反映させた夏の装いそのままを形にしているものであると見ていた。南の島の枠組みの中ではえるヤシの木。見た目の美しさに気を取られながら、一体どんな意味のある作品なんだろうか、と疑問をぶつけてみた。すると意外な答えが返ってきた。
 これは島ではなく山。二つの白く太い線は木ではなく道。山にできた道のりをそのまま人生行路に例えたというもの。それを聞いただけでこの作品の深さが見えて、パーっと視界が開けてきたように思えた。そんなこと聞かずに自分でわかるようであれば、アートの楽しさが身にしみてくるはず。アリアンナのアーティスティックなセンスを読み取れるようでありたい、とそう願う自分がいる。


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2007年6月30日 (土)

アドバイス - Ravenna 14

 そして今度はアリアンナからのアドバイス。アリアンナはオリジナルの製作に取りかかりつつも、生徒の質問に答えていく。時には手を休めながら、時にはモザイクを埋め込みながら。


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2007年6月29日 (金)

ヴィトルヴィアーノ - Ravenna 13

 かたや4ヶ月教室に通い続けて、いくつも自作を作り、更に自分の技術を磨いているドイツ人の彼。これはダ・ヴィンチの「ヴィトルヴィアーノ的人間」のモザイクの仕上げ。一つ一つなでるように枠を色どっていく彼の手先の作業よりも、そこに力を注ぐ彼の目線の温度のとりこになってしまった。どれだけ自分をそこに投影しているかが見えた気がした。それは想いが乗っている証拠。オーラというか集中力の強さに感服。


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2007年6月28日 (木)

好きこそ楽しめ - Ravenna 12

 短期間で作った作品の仕上げ。ルカ先生が最終行程を口にし、生徒はそれをノートに書きとめる。まじめなのか遊び半分なのか。集中力のない生徒にも、ゆっくりとていねいに言葉を並べていく先生の忍耐力に脱帽。逆に生徒のためというより生徒の作品を奪ってでも、自分の好きなモザイク製作を楽しんでやってしまっているという感じすら見える。好きで楽しめるのがキーポイントか?


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2007年6月27日 (水)

バシッ! - Ravenna 11

 ココの教室でモザイクを学び始めて一週間の生徒。その間に製作した2作品を並べての記念撮影。僕と会話を交わすにも、何故かアリアンナを介してという恥ずかしがり屋か人見知りなイタリアーナ。先生のアリアンナが恥ずかしがらないようにと、なだめながら撮りにいった風景。


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2007年6月26日 (火)

日かげのコラボ - Ravenna 10

 比較的大物のモザイクを2人の男が共同で施す。工具を取り入れて少し手の込んだ作り。というよりは、ここまで裏の作業を僕が見ていなかっただけかも。モザイクも大掛かりになると人手も必要になるということ。

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2007年6月25日 (月)

多国籍軍 - Ravenna 9

 工房では教室が開かれていた。昼下がりのドルチェの時間に到着。イタリア人はもちろん、ドイツ人やアメリカ人、東洋人など各国からモザイクを学びにきていた。イタリア内部で英語も飛び交うようなこういう空間に出くわしたのは初めてかもしれない。
 イタリア人も日本人もお互いに自国の殻の中に閉じこもりがちだから、こういうような場は貴重である。とはいうものの、さすがに来て突然話せと言われてもどうすることもできないので、場とは少し離れてそれぞれの人となりを簡単に聞いていた。


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2007年6月23日 (土)

究極を超えた現実 - Verona 8

 素材が見つけにくい上に高等な技術を要するが故に困難。依頼が少なく儲かるわけでもない。彼がそれでもやるのはなぜだろうか?

 代々伝わる伝統技術だから。
 他にやる人間がいないから。
 これでしか食えないから。

 この仕事で得られる現実がどれだけのものかなんてことは承知している。それでも頑なに続けているのは、目を見ていれば何となしに感じるものがある。


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2007年6月22日 (金)

当然理由がある - Verona 7

 もちろんすべてをマリアーノの手で修復をしているわけで、お金と時間さえかければ何でも修復できるはずのものである。彼に修復を依頼していたお客さんが訪問してきてコストの相談をしていた。マリアーノは「難しいが修復はしてみる」と。でも部品を手に入れるのにそれなりのコストがかかることを伝えていた。
 あたりまえの話である。
 修復するには当然要求すべき事柄ではある。あとはお客さんがそれでも修復を望むかどうか? どれだけ愛着があるかの問題であろう。僕はあのお客さんの出した答えは後々満足するであろうことを望んでいる。


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2007年6月21日 (木)

コントルノ - Verona 6

 それまで見えていたものの他にも見えてくるものがある。もちろん目がいくのは中心となる手先が動いている作業。そんな中でもふと顔を上げてみると、それまでバリエーションに乏しかった背景がガラッと変わっていることに気がつく。いままで気にも留めていなかった味のあるアンティーク家具がフレームの先に入ってくる。作業の向こう側にそんな風景が入ってくると、やはりそれなりに趣きは見違えてくることだろう。


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2007年6月20日 (水)

向き合わせ - Verona 5


 時間のあいた昼下がり、わずかな合間をぬって向かった工房。テンポよく物事を進めようとフットワークを軽くして臨んでみた。いつも左向きのマリアーノをこの日は右向きにさせてみることで新しい何かを発見できるかと試す。作業の細かい部分は利き手がカバーして見えなくなるが、逆にそこ以外に見えてくるものも何かあるだろう。例えば利き手側に用意しているもの。。

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2007年4月19日 (木)

浮かび上がってきたもの - Parma 6

 昼も終わり、午後の作業を見ようともう一度オッサンの工房へと行く。オッサンは工房にはいなくて、向かいのショールームにいた。オッサンに気がつかなかった僕は、オッサンに声をかけられて気がついた。ショールームといっても古くさい家具、いわゆるアンティークを扱う店だった。
 てっきり午後も作業の続きだと思っていたが、とりあえずこの古ぼけたショールームを案内してくれた。オッサンは久々に話を聞いてくれるカモを見つけ弾丸のように話してくる。まぁ、イスに座れと2時間以上話しただろうか? スゴい勢いで話していたが、僕にはほとんど何を言っているかがわかった。オッサンは人生は楽しくて素晴らしいということを言いたかったんだな。それをほとんど言わずに回りくどくいろんな話をするのはイタリア人らしさなんだろう。
 得意になって話していたオッサン。僕が一番いいと思ったのはネガティブさがなかったこと。最初オッサンに見たイメージとは違う人物像が見えた。古くさいアンティークなものに一途に気持ちを投入するオッサンを見て、改めて古いものを大切にする文化は美しく思えてくる。

 イタリアへの逆襲。それはやろうと思えばできるもんだということ。自分の捉え方次第。
 負けるなジャポネーゼ!


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2007年4月18日 (水)

匂いが引きよせる - Parma 5

 カメラを持ち歩いているので「何かしら撮らないと」と考えてしまう性分。それならば見つけ出そう職人さん。職人を見つけ出すには? もう大体見当がついている。おおよそは歩いていれば匂いがしてくる。匂いと地形、人の行き交い。大体こんなもんで見えてくる。というよりも僕が引き寄せられるような感覚と言えばいいだろうか? 自分の感覚だけに頼っていれば、誰も何も嘘はつかない。答えは正直者。2件の工房を見つけ出した。

 オッサンの名はジョルジオ。イスの修復をしていた。解体しようとしているのに取れない枠組みと格闘。機械まで出してくるが、機械の扱いが得意でなさそう。そこがまだいい味を出している。汚い工房。積み重なった材料。放置された水まわり。
 僕は窓の外から作業を眺めている。オッサンはボソボソボヤキながら仕事に集中して、僕のことなど相手にしない。いい感じである。僕が手を貸したら簡単に作業が進みそうなのに、言うこともできない雰囲気。職人気質を絵に描いたような感覚か。
 そんなオッサンも僕に時間を聞くと昼近くだったこともあり「昼飯に行かないと」と作業を中断。そしてそれまでとは一変して僕に話しかけてくる。オッサンはアート好きでよくミラノに来るらしく、アート好きな僕をつかまえて、パルマなんかよりアートのたくさんあるミラノの方がいいぞとばかりに、アート話に勝手に花を咲かせていた。30分くらい話をして、そそくさと昼飯に行こうとする。


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2007年4月14日 (土)

スズキテイ - Cremona 11

 クレモナのヴァイオリン職人マルコ・ノッリのお弟子さんの鈴木徹さん宅にお邪魔しました。クレモナはミラノと違って街の中心でも静かで2倍の広さ、しかも家賃が半額!!! そして家自体1800年代の古いもので天井には絵が描かれていて、旧式の暖炉まである。地下室も建物全体に広がっていて、洞くつのように探検できる。自分の家などイタリアの一部でしかないことがよくわかる。

 帰りの駅。切符売り場の窓口など当然開いていないが、自動券売機も壊れていた。おそらく車内で買えるのだろうが、以前そういう言い訳をしても違反切符を切られたことがあった。一応駅の係員なのか警備のような人に伝えると、いろいろやりとりした後、電車の車掌と連絡を取ってくれて車内で切符を買うことができた。見回りに来ないこともあるイタリアの電車。バカ正直に買うこともないんだろうけど、万が一のために手段を打っておく自分はやはり日本人だ。それにしても走行中に壊れた乗降用のドアがパカパカ開いたり閉まったりしていたのは危険きわまりなかった。イタリア人、お前らホントにいい加減だな。

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2007年4月13日 (金)

気まぐれ - Cremona 10

 クレモナに着き、通りを歩いているとヘルメットをかぶった黒人が「Ciao!」。笑顔で言うので誰だか知らんがとりあえず「Ciao!」。そういえばアフリカやキューバに行くと黒人同士でも知り合い同士か知らないがひたすら挨拶をしているのを見かけた。僕には「コンニチハ」。意味があるのかなんなのか知らないけど、世界はそういうもんなのかな?

 マルコの工房にやってきた。僕は珍しくマルコがコントラバスを手がけているのを見ることができた。が、来て間もなく弟子の鈴木さんと僕を置いて「Ciao!」。なんとノンキなオッサンだこと。


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2007年4月11日 (水)

タングステン光 - Cremona 9

 マルコの工房。
 いつもはホワイトバランスを気にして色補正された状態で撮影するように心がけているが、たまに色を整えるのが難しいときがあり、そんなときに撮れるものがホントにその場所にいたときの色。というよりホンモノよりも色濃く出てしまう。それが今回の写真。
 いわゆるデスクスタンド=裸電球の光の色。タングステン光は見た目では色はあまり感じないものの、写真などのフィルターを通せばしっかりと認識できる色である。これがマルコの工房の色であり、作り出されるヴァイオリンやコントラバスの色にも通じるものがある。


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2007年4月 9日 (月)

やると見るとじゃ大違い - Verona 4

 昔の人は当たり前のことを当たり前のようにウマく言うものだ。と、当たり前のことを当然のように感心したのが今回のヴェローナ。いつものように中心街を素通りしてマリアーノのいる工房へ。
 マリアーノは相変わらず淡々と仕事をこなしている。僕はあくまで撮影している人間なので、実際にその技を手にしてみることは自分から進んでやることはないが、マリアーノに勧められたので椅子の修復の糸縫いをやらせてもらった。
 単純なようにスイスイとこなしているのを見ていると「簡単なんだ」と思いがちなのが、実際に手にしてみると格闘しまくりなのだ。以前カットモデルで美容師のタマゴによく髪を切ってもらっていた時期があるが、プロに髪を切られるときと比べると、切られる側の感覚も確実に違うのがわかる。何の違いかと言えば、それは「自信があるか否か
 どんなに慣れないとしてもハッタリという名の自信を持ってそういう素振りでやればウマくできる。なんてことはなかった。やはり職人の技は職人技。かなわないものはかなわない。素晴らしいものは素晴らしい。
 マリアーノ、アンタはスゴい。

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2007年3月22日 (木)

オトガルのヒーロー - Safuranbolu 12

 旧市街からタクシーでオトガルに向かう。オトガルでは真っ先にチェマルのいるタバッキに行き、街を満喫できた事とお礼を言う。と、そこに邪魔者登場。ちっさいオッサンが「写真を撮ってくれ!!」とせがんでくる。僕はとにかくチェマルと話さなくてはいけないと思い、オッサンを邪見にした。
 するとまわりでみんな笑っている。オッサンはちっこくて、まるで首からつまみ上げられてバタバタしているかのように必死にせがんでくる。このオッサンは数少ない観光客が来る度に写真をせがんでいるらしい。オッサンは靴磨き屋で、仕事現場の後ろの壁に、撮った記念写真を貼ってコレクションにしている、とチェマルが説明してくれた。二組くらいしかない写真のコレクションを見たが、とりあえず撮ってみることにした。
 僕はとにかくいろいろと撮っていた。その度にまわりのオッサンどもが彼をからかう。オッサンは撮って欲しがるくせに恥ずかしがり屋。言葉数も少ないが特徴のある笑い方が面白い。このオッサンにもインタビューしてみたらいいもん撮れるんではないかと、だんだんエスカレートしていく。バス会社のオッサンがちっこいのをいいことに体を持ち上げ、ホントに足をばたつかせる。そしてプリプリ怒っているが、その仕草がマンガのようでまた笑える。何やらせても笑える。吉本で食べていけるんでないの?
 チェマルはバスケの選手のようにでかく、オッサンは小人のような小ささ。そしてその間の大きさの僕。この三人のやりとりの映像を添付してありますが、オッサンの答えがまた笑え、オッサンが小さい理由がわかります。質問は「人生で大切なものは?」です。
 オッサンはオトガルの公衆トイレの管理もしている。一般の人からはチップを取っているので僕も出発前に行こうとお金を出すと、黙ったまま手を振って「行け」という仕草。すでにかなり打ち解けていた。出発をバスの中で待っていると名残惜しいようで、外で立ってずっと待って眺めている。ホントに無邪気な子供のようで、なついてしまったようだった。僕はバスを降りて日本語で促した。「おいでおいで、一緒にイスタンブールに行こう!!」すると外野がヤジを入れる。それに乗せられオッサン、ホントにバスに乗り込んできてシートに座った。これはお互い冗談とはわかっているものの、ここでダメオシをしてくれた事で最高の印象を残してくれた事は間違いない。
 みんなから愛され、笑いをふりまくオッサン。オトガルのスター。ありがとう。僕もこんな人になりたい。僕の憧れでもある。




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2007年3月17日 (土)

鍛冶職人 - Safuranbolu 7

 人の呼ぶ声がする方へ向かうと、激しく燃える炎に目を奪われる。寒い気候の中、熱い工房で黙々と仕事に励む二人組。昔のコントに出てきそうな、もしくはマリオとルイージのような、そんな息のあったコンビネーションに魅了される。



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2007年3月16日 (金)

パン職人 - Safuranbolu 6

 そのすぐ横を見ると店のような建物から突き出した板。近寄ってみると奥にはかまどがある。ここは焼きたてのパンを販売する店だった。しかしこの長い板は何に使うのだろう? 作ったパンを板に乗せてかまどの奥まで入れて焼く。かまどの中をうまいこと管理するパン焼き職人。焼き上がったパンはこんがりいい香りとともにボンボンと出てくる。焼きたてのパンをかじらせてもらったが、飛び上がるようなウマさに感激!!!



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2007年3月15日 (木)

鉄鋼職人 - Safuranbolu 5

 ガラクタがぶら下がっている工房。一見ホームレスのたまり場のような気がしないでもないが、中へ入ればホントにガラクタばかりのよう。しかしれっきとした仕事用のパーツ。何を作っているのか聞いてみたが、ストーブのような、何なのか、よくわからないが、とにかく大型のものを作っていた。愛想良く明るい男は、求めてもいないのに名刺を差し出してきた。愉快なオッサン。



ERSİN TİCARET
Çeşme Mah. Kasaplariçi Sok. No:2
0370.712.82.46

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2007年3月14日 (水)

家職人 - Safranbolu 4

 旧市街は観光地化されているわけでもなく、ホントに職人さんの工房が続々と軒を連ねている。土産物を売っていそうな店でも、その場でそのお土産を作っている。上部の突き出した特徴的な家が名物のサフランボルの家を製作しているオッサンの店。言葉数は少ないものの、チャイをごちそうしようとしてくれた。優しい気遣いを感じられる街である。


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2007年3月13日 (火)

クツ職人 - Safranbolu 3

 歩いていると店頭にクツが無数にぶら下がっているクツ屋を発見。オッサンは昔ながらの頑固職人のようで、とがった口調で話しかけてくる。それでも撮影する事には何のお咎めもなく、僕は横に座っていたオッサンと共に仕事を観察していた。



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2007年2月17日 (土)

カーペット職人 - Konya 8

 ここコンヤだけでなくトルコ全域で作られているカーペット。短い移動の間の時間を使って訪れた彼ら職人の集まる軒では、黙々と無駄口たたかず真剣に仕事に取り組む姿勢が伺われた。英語すら話さない彼らの何分の一も理解できたなんてことはないものの、その誠実さの一端を垣間見ることはできたであろう。これだけ手のかかっているものであれば大金を払っても惜しくない。一つ一つに力がこもっていたから。



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2006年9月 5日 (火)

koko - Ravenna 7

 工房へ着くと見慣れない顔ばかりだった。僕がはじめからわかったのは日本人の女性だけだった。前に来たとき工房の中でもサングラスをかけていたルカは素顔だったことに気付くのに数秒かかった。あとは練習に来ていた生徒さんのようだった。
 アリアンナが途中からやってきたものの、前回の白衣とは打って変わって普段着にサングラス。これまた気がつくまでに 30秒くらいかかった。しばらくしてアリアンナが創りはじめた海岸をモチーフにしたモザイクがかなりきれいで、気に入ってしまった。さすがに自分で目を付けた職人さんである。ビー玉のようなガラスを埋め込み、バックにも色を付けて手が込んでいた。急ピッチで製作してはいたが、時間が押してきて完成まで見届けることもできず、写真を送ってくれと頼んだ。


完成品はこちら →「GLI ARTIGIANI

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2006年8月28日 (月)

愛の体現 - Firenze 3

 スカリオーラの修復をしている彼女の仕事ぶりに目を奪われた。レンズを向けることを忘れてしまいそうなくらいだった。ボロボロに剥げたスカリオーラが悲しく見えてくる。一つ一つのヒビに手をかけていく様は、まるで彼女の愛情を埋め込んでいく作業をしているかの様に見えた。
 しばらくすると黒いインド人のような男があらわれ、彼女と話し始める。お弟子さんなのかアシスタントなのかわからなかったが、修復すべきポイントを指示され削っていた。細かな指示を下して、そこに彼女がきれいに新しく埋め込み修復していた。
 その合間を見て彼女もタバコ休憩を取る。すかさず僕も気取らない彼女に声をかけ話し始めた。工房がしまる時間と列車の時間を考えた末に、ぎりぎりまで作業のトリコになっていた。
 オルトラルノの職人街を眺めながらアルノ川のある橋まで行き、アルノ川を撮影した。シエナ行きの各駅に乗りこむ。予定の時間になっても到着せず、ありがちだと思いつつも不安になる自分がいた。


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2006年8月27日 (日)

渇望していたのは - Firenze 2

 食事を終えてすぐにピッティ宮殿正面の工房へと向かったが、中に入っても来客があったようで相手にされず、時間が経って出直してから来ることに。フィレンツェの中心街が一望できるミケランジェロ広場まで徒歩で行く。死にそうなほどの暑さの中、地味に川沿いを歩き坂を登る。石も地面も触ればヤケドしそうないきおい。山を降りる頃にはヘロヘロで、すかさずバールにかけ込みを手にする。ピッティ宮殿前の広場脇に座り込み、しばし休みを取り、工房へと立ち寄る。
 職人さんは女性。かなりの根性でやっている伝統工芸だけに気の強い人かと思いきや、物腰が柔らかく優しい感じのする品のある方だった。奥の工房で作業をやっている彼女に近づいていくと、当然のように僕が入ってくることを受け入れてくれた。


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2006年5月26日 (金)

対極・二面性への挑 - Verona 3

 完璧に僕の理想にハマってしまった職人だ。僕が言いたいと思っていることを次から次へと口にしてくれる。映像で言葉を出さない僕にとってはある意味代弁者のようである。と、そこに疑問がわいてくる。そんな予定調和のままで作品作りをしていいのだろうか???
 ビジネス書を読みあさっている人は言っていることがみな同じでオリジナリティがない。成功するには法則があってそこにオリジナリティは必要ない。法則のままに動けばうまくいく。という。そういうものだろうか? 成功などという世界とは異なるだろうが、人の求めるそのままに表現をしていては、異なることへの新鮮みを感じることはない。
 自分の想うことを意のままに表現できるいい機会ではあるものの、そこにスパイスを加えずして面白くなるだろうか? 自分の想いへの反論も加味していくとどういった結論へと導かれるのだろうか?
 アナログ人へのデジタルでの反抗。人間性を無視した生活の肯定。いいと思えることを連ねていけばいいのか? 逆もまた真なり。少しは作品を破壊せねば更に上の映像には仕上がらないはずだ。


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Tappezzeria - Verona 2

 一年以上ぶりに訪れたヴェローナの壁紙職人。壁紙というか布を駆使した修復職人である。僕が来るときはいつも使い古された椅子のカバーをきれいに付け替えている。
 久々に訪れたというのに僕のことをよく覚えてくれていた、マリアーノとパオラ。この二人のアナログな感じが僕のお気に入りで、話しをしていても同感することが多い。決して街の中心から外れた場所ではないが、田舎の人間のような感覚が、一つ一つの人生を大切に描いていこうという気持ちがのっているようで、つむぎ出す作品への愛情につながっているのだろう。


 前回訪問時の撮影日誌 「いつも通りの取り越し苦労

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2006年4月14日 (金)

カンタンテ・ノッリ - Cremona 7

 バイオリン職人養成学校の女学生が来ていたせいか、いつもよりハイテンションだったマエストロ。やたらに歌を歌っていた。それでも作業する手が止まらないのは、やはり仕事師。頭が上がりません。


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ウマの骨 - Cremona 6

 マエストロ・ノッリの工房にて。彼は僕がいろんな都市をまわって撮影している事を知っている。パルマの生ハムの話をしていたときのこと。生ハムはとがったウマの骨を突き刺して、生ハムの匂いをかいでから出荷する。そのとき突然吠える奥さんのマリアン!!


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2006年4月13日 (木)

トラブッキの工房 (ボツテイク) - Cremona 5

 イタリアの小都市をまわる度にいつも気になるのが、ミラノには存在しない通りの美しさ。ミラノの通りの車道と歩道には段差があり、ハッキリと別れている。石畳のところもあるがほとんどはアスファルトで情緒を感じさせない。
 郊外でも車道と歩道の区別は見られるものの、段差のないところがある。たったこれだけの違いが街を歩いて行く中での心的負担に影響がある。やはりなんとなく後者の方が僕はいいものを感じている。

 マエストロ・ノッリの周辺の人々にノッリについてのインタビューをしようと立ち寄った工房。去年、長野太郎さんと訪れたコントラバッシ・クレモネージの一人ステファノ・トラブッキ氏の工房だ。
 いつも通りのアポなしの訪問だったので本人不在。工房の窓が開いていて作業の音がするから本人がいると思っていた。人の声は聞こえなかったので一人しかいないはずだったが、よく考えればマエストロ一人で作業しているはずがなかった。
 いずれにしても使うことはないだろうと思いつつ、インターホン越しの会話中に回したカメラ。日の目を見る事もなくオクラになるくらいなら、色あせた映像でもちゃんと撮影している事をご報告するために、この作品に期待していただいている方々へお届けします。


http://www.trabucchi.com/

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